常に次へのバトンパス~この夏もオンライン授業を行いました!~

Try chance代表の長野です。

今年の4月から始動した当団体は~挑戦すれば道は拓ける~というコンセプトで活動しています。

現在、毎月1回のコミュニティ=Ryo室空間と、直接声を届けての活動報告=ながラジオ に加え、スピンオフとして個人での活動もどんどん発信しています。

それは、まず私自身が言動を通して『挑戦すれば道は拓ける』というメッセージを体現したいとの想いがあるからです。

4月から始めた新しい関わり。自分から終わりは作らない!

Try chanceには小さな小さなサポーターがいます。

毎月開催しているRyo室空間にも毎回来てくれる、りっちゃんという女の子です。

今年の1月に出会い2度対面を果たしたものの、コロナウィルス感染拡大の影響で一堂に会してのイベント開催が難しくなりオンラインに・・・。

「せっかく関われたのに残念だなぁ」と思っていたのですが、3月も4月もオンラインで開催した「Ryo室空間」に自分の意思でたくさんのコメントを打ちながら積極的に参加してくれました。

けれど、私の胸にはどうしても引っ掛かることがありました。

それは「本来なら学校に行っているはずの毎日、りっちゃんはどんなふうに過ごしてるんだろう?」

Ryo室空間の(オンラインの)打ち上げの席で、サポートチームのメンバーでもあるお母さんに聞いてみました。

すると、毎日時間割を決めて国語と算数を重点的に行っているとのこと。次の瞬間、私は思わずこんな言葉を返していた。

「2年生の勉強だったら見れますよ!」

オンライン授業のやりがいと難しさ

お酒の力も手伝ったとはいえ、なぜこんな発言ができたのかといえば学生時代にきちんと学んだ証を残しておいたから(来年3月まで有効の小学校教諭1種免許)。

採用試験は突破していないものの、今こそ力を発揮する時だと思いました。自ら日常を伺ったのですから。

オンライン授業は、得られる情報の少なさに加え、子どものやる気を引き出すことがとても難しいと感じます。

通常、学校の授業は集団で行われますが、教師は全体をいっぺんに視界に捉えることができます。そして何より、子ども同士が発する空気感を活かして場の雰囲気を作っていくことができます。

しかしオンラインの場合には、限られた範囲しか映らないばかりか、表情が見えても顔色を正確に見極めることまでは困難で、僅かな体調の変化などを捉えにくいといった特徴があります。

一方で、場所を選ばない手軽さに加えて、私が感じていたオンライン授業のメリットは「フィードバックのしやすさ」です。

(今回の関わりはマンツーマンであり、関係性が築けていたこともありますが、)お母さんには活字(LINE)で、本人には動画で事前に学習内容を予告したり、終了後にはその日の進捗状況に応じてすぐに復習用のスライドを追加で送ったりと、オンラインだからこそできるやり方で授業を組み立てていきました。

崩さなかったルーティン

とにかく、授業にとどまらない心のつながりを届けたい。

「いつも気にかけているよ!」

そんなメッセージを送り続けることだけを心掛けていました。

だから、実際に授業を引き受けることになった時も強く意識したのは、学校や前の時間との”つながり”。

事前に2年生の今の時期にはこんなことをやるというような単元(カリキュラム)を送ってもらっていたので、もともと3回構成だったんです。

最初に手がけた授業は『大きな数と時計とかけ算』

まず、この単元の大目標は「時計が読めるようになること」だったのですが、私には時計がしっかりと読めるようになれば、必ずかけ算(の5の段)まで理解できる!という確信がありました。

①まず小学校の学年で12までの数を意識させ、
②その子の普段の生活時間を穴埋めプリントで振り返り、
③時計が読めるようになったら、長い針を使って5の段を反復練習

こうしてスモールステップを踏んだおかげで、今では5の段も時計の読み方もバッチリ理解してくれています。

自粛期間中は週2回を基本に授業を行っていたのですが、算数を終了した時点でまだあと1週余っていたため、翌週はオリジナル教材を使って国語を実施。

この4月の流れがベースとなり、以降、算数→国語→スペシャル授業という流れができあがりました。毎月、最後の授業では新たな内容は設けず、ゲーム性を取り入れた復習に専念することで、学習内容の定着を図りました。

続投の先にあったもの

授業での関わりを始めた当初、そして4月の授業を終えたこの時もまだ、コロナによる一斉休校はゴールデンウイークまで、とされていました。

ところがその後、ゴールデンウイークも終了直前になって5月末までの休校延長が決定・・・。

そこで「この後どうしたいかは本人に聞いてみよう!」と思った私は、zoomを繋いで彼女の意思を直接確認。結果、ありがたいことに本人の強い希望もあって5月も続投することになったのです。

そこで5月の算数では『長野さんと長さの勉強~mm,cm,mの関係~』を実施。

小学校2年生相手にも全力でユーモアを交えながら(笑)、文字通り身体を張った動画も撮影。全力で[長さと高さのちがい]や[単位の概念]をレクチャーしたのでした。

ちなみに、完全オリジナルの国語の教材タイトル(文章題)は、

4月が『     』(※内容を理解して最後に自分でタイトルを付ける)
5月は『笑顔のタネ』と題して、あなたのことを大切に思っているのは家族だけじゃないんだよ!というメッセージを伝え、直後には一緒に8歳の誕生日をお祝いしました。

無事、6月に学校は始まったものの”最後”という言葉がどうしても受け入れられなかった様子。

そこで、休校明けの午前授業を利用して、急きょ補講を実施。

『学校ではぜったいにやらない授業』と題して、『”さいご”はわるい言葉じゃない!わるいことばかりじゃない!!』というメッセージを全身全霊で伝えました。

こうした一連の関わりの中で私が決意したこと。
それは「自分から最後は作らない」ということでした。

苦手克服大作戦!!

例年より短い夏(休み)となった今年の8月。春の内容は長野にお任せだったのですが、今回は初めてお母さんから要望がありました。

「苦手意識をなくしてあげたい!」

この間も関係性を築き続け、りっちゃんとは折りに触れて2人きりで”対話”を重ねてきたのですが、そうした積み重ねが”信頼”につながったのだと思うと、心から嬉しかったですね。

さて、そんなこの夏のテーマは『大きな数であそんでみよう!』

事前に、こんな問題が苦手です!と共有いただいていたので、プリントに色分けするなどひと工夫。もちろん前時には春の内容を復習し、一緒に2ケタの数を攻略してから取り組みました。

こうして、学校からのバトンを引き継ぐ形で授業を展開。

さらに「自分で問題を作ったほうが絶対に楽しいはず!」ということで、トランプくじ引きを発案。

今のご時世だからこそ、自宅にあるものをフル活用する。そんな姿勢もとても大切なのかな、と思います。

さて、自作ゲームの効果なのか、自分で問題を作ったという親近感なのか、当日は10問連続正解という離れ技を披露してくれました。

『りっちゃん、こういう問題好き!』

「すごい!もう完璧だね!!」

これは、そう声を掛けた私に本人が伝えてくれた言葉です。
”苦手”が好きに変わった瞬間でした。

こんなふうに学習内容を理解することももちろん大切だけれど、まずは楽しい!そして目の前のことを好き!!になれるか。

だって夏休みだもの。
ガマンの多い夏を一生忘れられない夏に。

そんなお手伝いができたなら嬉しく思います。

それでも最後は、学校に戻っても楽しくできるように、いつもまとめはしっかりと(笑)

常に次へのバトンパス。(これが私の役割です)

これからも学習にとどまらず、そして最後は作らず、自分ができるやり方で関わりを続けていきたいと思っています。

このブログを書いた人

長野 僚
長野 僚Try Chance 代表
『障害を忘れられる瞬間』を掲げ活動する執筆家・講演家。脳性麻痺、1人暮らし10年目。2019年4月に本を出版。

2020年4月に『Try chance』を旗揚げ。「おかえり」といつでも言えるような温かい居場所『Ryo室空間』を創ることを目指している。 全国の子どもたちに元気を届けるのが次の夢!